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「今、本当に着たい服」は、私たちがずっと前からすでに身につけていたものだったのかもしれない。

 

Itheの2016-17AWコレクションのすべてのサンプルが完成し、撮影をおこないました。

 

無機質で匿名的な雰囲気を演出したかったので、ロケではシンプルな壁をつかい、モデルの顔はすべて写らないようにしています。

そのあと、スタジオでアイテムの細かい部分までわかるように、1着ずつ物撮りをしました。

 

 

Itheが今回つくったのは、私たちの暮らしの中にすでに当たり前に存在しているような

普遍的なデザインや機能性をもったプロダクトたちです。

 

それらがこれまでに物語ってきた歴史や文脈を受け継いで、次の時代にむけて更新していくこと。

 

ものがあふれている世の中で私たちにできることは、そのような「日常の制服」と呼べるようなものを、

現代の価値観や美意識によって新たに生み出していくことであると考えています。

 

 

 

今までいろんな服を着てきました。古着も、ラグジュアリーなブランドも、その中間にあたるブランドも、ファストファッションも。

 

「今、本当に着たい服」が欲しくて、Ithe(I=私の the=それ、唯一)という名前で

服をつくりはじめましたが、私たちの欲しい服は、実はずっと前からすでに身につけていたものだったのかもしれません。

 

これまでにいくつものコレクションに携わってきましたが、

その中でも「一番好きなものができた」と胸を張って言えるものが作れたと思います。

そして、ようやくひとつの答えにたどりつけたという高揚感とともにお知らせの準備をしています。

 

来週の金曜日、4月1日にItheの新作をこの場所で発表します。

私たちが1年近く話し合いを重ねて、生まれてきた「本当に欲しいと思う服」をぜひご覧になってください。