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未来の定番を生み出すために

 

Itheの今シーズン、2021年春夏コレクションはスポーツウェアのデザインのディテールを捉えなおして、現代の都市で着ることに適した素材とシルエットに作り直しました。「運動すること」を目的に生まれたシャツやジョガーパンツはもちろん動きやすくて夏にも涼しいもの。一見工業的でチープなデザインを魅力的に仕上げることができたと自負しています。

 

昨年レーベルとしてのコンセプトを更新してから、Itheでは製作のはじめに行う古着をリサーチする段階からより「価値のないもの」へと興味がいくようになっていきました。これは今すでにその価値を評価されている(価格の上がっている)デザインよりも、いまだ正当な評価を得られていないデザインを見立てることで世の中に提案するのがItheの仕事だ、という思いが固まってきたともいえます。

 

言いかえると、この活動は未来の定番を生み出すこと。現代の暮らしの中で安価な量産品として人の暮らしに近しいところにあるためにそのデザインの価値が認められていない衣服、プロダクトにあらためて目を向けて世の中へ投げかけることだとItheは捉えています。

 

 

例えば、No.46-NKのジョガーパンツ。

いわゆるジャージと呼ばれるアイテムをスーツなどで使われる生地で仕立てることでジャケットとのセットアップとして着用していただくことを提案しています。

もともとのイメージであればちぐはぐになってしまいそうなものも、そのデザインへ目を向ければ履きやすさや裾の開閉でアレンジを楽しめる機能をそなえたイージーテーパードパンツとも言えます。

 

 

サッカーのゲームシャツをモチーフにしたNo.45-adも、襟付きで浅いVネックのデザインで、1枚でも品良く着ることのできるスキッパーシャツと見立てることができます。

そのどちらもが都会的な街着としては決して見られていなかったものを、新たな選択肢のひとつになれることを目指しました。

 

これらが世の中に「定番」として大多数の人々に受け入れられるようになるのはこれから数年後、数十年後になるかもしれません。

Itheが提案したファッションがひとつの普遍的なスタイルとして確立されることで、より豊かで多様な選択肢から人が装うことを楽しめる未来になることを微力ながら願っています。